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それでは、何故彼女の部屋にいるのか、その経緯を話そう。
俺はその時、自宅に一人でいた。
出不精の俺は、春休みだからと言って、外出したりしない。
部屋に引き込もって、ゲームをしていた。ギャルゲーだ。
二次元でハーレムを満喫し、プレイボーイを気取っていた。
その時、携帯電話が鳴ったんだ。
そして、今に至る。
電話を終えた俺が、あやかの部屋に駆けつけると、あやかが項垂れていたのだ。
ただ、それだけ。
経緯と言うほどでもない、過渡。
……そう。
俺も何がなんだか分からない。
分かっていない。
なんでこの幼馴染みちゃん、項垂れてんの?
構って欲しいの?
「あ、あ、あうあー……」
独白中に、あやかが嘆きをまた一つ。
そうだな、取り敢えず、話を進めなければならない。
考察していても、何も始まらない。
てなわけで、嘆き呻くあやかに、問いかけてみようと思う。
「おーい、あやか。何で部屋に来た主人公そっちのけで、項垂れてんだよ」
俺の声にピクリと反応すると、あやかは、億劫そうに面を上げた。
その目には力がない。
気力が稀薄だ。
「……ん? おやおや? この声はもしかして、かずきくんじゃないの。聞いて、聞いてよ、かずきくん。空き缶のポイ捨て、多すぎだよう……」
……何だって?
「あうあー……、私は後何個拾えば良いんだよう。拾っても拾っても終わりが見えないー。あぁーん」
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