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……うん。
思ったよりも、思った以上に、どうしようも無い事で悩んでるな、こいつ。
そう言えばあやかは、ボランティア活動好きだったっけな。
中学生ぐらいの時、自分の住んでる町が汚いのは嫌とか言って、俺も何度か参加させられた事あったな。
半ば強引に、家の外に連れ出されて、奉仕作業させられたんだ。
メイドさん気分で、奉仕しまくったんだっけな。
「あやかさん、あやかちゃん、あやかたん、あやあや、あやぽん──」
「あやぽんは止めて」
「あ……、すみません」
あやかたん、あやあやは許容範囲らしい。
一体、あやぽんの何が、許せなかったのだろう。
あやかと付き合い長いが、不思議で、愉快な奴なのは、昔から変わらない。
「……あやか、空き缶のポイ捨てなんかで悩まず、俺達はティーンズなんだから、思春期的な悩みで頭抱えようぜ。その問題は老後に持ち越そう。老後の楽しみが、出来たと思えよ」
髪が乱れるのも気にせず、あやかは大きくかぶりを振った。
「だめだめ! だめだよ、かずきっくす! 問題は先伸ばしにするんじゃなくて、解決しなきゃ。そんなんだから、赤点ばっかりでギリギリの高校卒業になっちゃったんだよ? このままじゃ、童貞卒業もギリギリになっちゃうよっ!」
「おい、童貞卒業がギリギリってなんだよ、それ。俺がちょいと本気になればな……、まあいいや。取り敢えず、かずきっくすは止めろ」
「うん、ごめん」
謝るとあやかはまた、項垂れてしまった。
俺は嘆息すると、あやかの隣に腰をおろして、そんな幼馴染みの頭を撫でてやった。
あやかはチラりと俺を見ると、また項垂れる。
そして、何かに気が付いたように再度俺を見た。二度見ってやつだ。
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