追想

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あれは確か、高校二年の冬休み初日。 図書館に本を返却しに行った帰り道、どうやら私は、誰かに刺されて死んでしまったみたいで。 生きてりゃいつか死ぬんだし、まぁこんなもんなんだろうなぁ、と、文字通り刺すような痛みの中で思っていたら、何でか分かんないけど異世界に転生しちゃってて。 あれ、こういうのって神様とか出るんじゃないの? と幼馴染みに散々聞かされていた転生ものとの違いを不思議に思いながら、気合いで産声をあげたのが、この世界での最初の記憶。 私が生まれたのは極々普通の一般家庭だった。 優しい両親と素直じゃない兄に囲まれて、普通に幸せな幼少期を過ごしたように思う。 まぁそんなこんなで、ここまで平凡なら巻き込まれとかそういうんじゃ無かったんだー、思い違いで良かったー、とか、たかが五年生きた位で思ったのが間違いだったのだろう。 転生して六回目の年越しの日。 私の前に奴は現れた。
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