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「何で追われているんだ、助けてやったんだからそれくらい・・・」
すると女は黙りを決め込み口を開こうとはしなくなった。
「まぁ、どうでもいいことだけどな」
「・・・」
剣を背負い直しながら立ち上がる。
ピタリとも動かなくなった女をジッと見つめる。
俯いているから表情も見えず、ただゆらゆらと長い髪が揺れている。
構ってる暇は、ない。
「俺は行く」
反応さえしない女は置いていくことを決め込み、雪の上をサクサクと歩く。
この町はきっと、そろそろ騒ぎを聞き付けた政府の役人で溢れるだろう。
とりあえず、ここから離れなければと思う。
一度だけ振り向いてみたけど、女の姿はもう見えなくなっていた。
踵を返して歩き出した。
その時だった。
「待て」
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