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さぁ、行くかとそろり足を踏み出したその時。
遠くから無数の人の足音と声がした。
思わず顔がひきつる。
―――こんなときに
一般人ならいいが、軍や政府の奴らやなら洒落にならない。
身構えて、万が一の為にと背中に背負った重たい剣に手を添える。
「頼むから、・・・こっちには来てくれるなよ」
音の聞こえたほうを警戒しながら、反対方向へなるべく音を立てないように足を動かす。
やり過ごせれば、それにこしたことはない。
殺り合えば身元が分かってしまうリスクがある。
それは万が一にも避けたい。
「こっちに逃げたぞ!!」
「追えっ!!逃がすな!!」
しかし、そんな俺の願いも虚しくこちらに近付いてくる足音、声。
煙草の火を雪で踏み消して、一つ溜め息。
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