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――奇怪。
彼女らが見たその光景はまさにその言葉がピタリと一致した。
氷とは言え、それなりの硬度を持つ礫が頭部へ直撃したのだ。―――無事な訳がない。
では。今、この目の前にいる少女は何なのだろう。
痛みに怯む訳でもなく、
怒りを露にする事もなく、
憎悪が込み上がる筈もなく、
只、ただ少女は―――
「アっはハははハハははハはッ!!」
――――笑っていた。
ただただ、笑っていた。
狂おしく、不気味なんて言葉が生易しく感じる程、常識を、理解を超えていた。
狂気に―――狂喜に満ちたその姿を目の当たりにした妖精たちが正気になれる筈はなく。
「ヒッ、ぁ…だ、大……ちゃ」
「ち、ちる…の、ちゃ……はヤ…逃げ――」
逃げる所か身動きひとつも取れない。いや、取らせない。
そんな殺気に当てられた妖精たちはまるで捕食されるのを待つ小鹿のように震え、遂に手の届く位置にまで、彼女が――来た。
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