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「―――ということですが理解していただけましたか?」
「いんや、さっきから何を言ってるのかさっぱりだぜ」
どうやら1ページに渡って懇切丁寧に説明した私の言い分は彼女には届かなかったようです、はい、無念です。
まあもとより彼女相手に理解して頂くつもりはありませんでしたが……人の話聴かない類いそうですし。
さて、彼女が『ここに来た』ということはそろそろあの方も――――
私が予想していた通り、ほんの数秒も狂うことなく新たな客人の気配、そして怒声―――
『ちょっと、魔理沙ー! いるんでしょー!?』
「――やべっ」
声の持ち主……まあ巫女さんですが、聴いた途端先ほどののほほんとした彼女の態度が焦りに変わったのが手に取るようにわかりました。
今度は何をやらかしたのやら……
「バレるとは思ってたがこんなにも早く来るなんて……」
「はっはっは、どうします?」
「クラン、いつもの頼むぜ!」
「……畏まり」パチン!
私が指を鳴らせばあら不思議。 床下にパカっと穴が現れ、魔理沙さんは穴があるのが最初から予測しているかのように入っていき、穴は綺麗さっぱりなくなりました。
さて、これで魔理沙さんが居た形跡は隠しました。
あとは…
「ここに白黒の泥棒猫はこなかったかしら?」
ぱっと出てきてこんにちは、博麗の巫女さんのご登場です。 いやー、この人勝手に住居に上がり込んだ上に挨拶もなしだなんて信じられませんねえ。
しかもこの様子だとかなりご立腹のようで……一体今度はなにをしでかしたんです魔理沙さん?
「これはこれは巫女殿、今日も元気そうで」
「相変わらず堅いわねアンタは。まあ、だいたい察しがついてると思うけど……魔理沙いるわよね?」
その質問に私は肩を寄せあげ困った表情を見せる。その仕草で悟ったのか、またか…と、彼女は溜め息を吐いた。
「すみませんねぇ。職業柄、私は中立の立場にいる者でして……生憎」
「あーはいはい分かってるわよ、『生憎お教えするわけには―――』でしょ。 ホント難儀よね、アンタは」
申し訳ない、と一言。
別にいいわ、と返事。
邪魔したわ…と一言残し彼女は何処かへ行ってしまった。
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