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「これくらい、どうってことないさ」
マイケルは肉薄の小さな肩をちょっと竦めると、こちらもクリッとした円らな目を細めて笑った。
「僕が先に滑って見せるよ」
言うが早いか、マイケルはTシャツの背を見せて屈み込む。
シャーッと画用紙をナイフで勢い良く裂くのに似た音が、マーロンの耳内を走った。
「ほら!」
砂場に着地したマイケルは、両手を真っ直ぐ空に揚げてマーロンを振り返った。
「やってみれば、何てことないだろ!」
ツヤツヤしたチョコレート色の顔をしたマイケルと真っ黒な影法師が、乾いた真っ白な砂の上をピョンピョンはねる。
「お前、すべんのうまいな」
先ほど囃し立てていた年かさの子供たちが次々その周りに集まってきた。
人の垣根を飛び越す様に、マイケルは跳ね上がって手を振った。
「マーロン、次は、君の番だよ!」
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