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こいつはもしかしてなかなか謎な人間なのかもしれない。
「それで、兄さんはここで何してたの?」
「そうだな、強いて言うなら太陽とタイマンしてた……といった所か……」
俺が屋上に来た理由は特にない。
元々高いところは好きだったし、そこから見える景色や、優雅に流れる雲を見るのも好き。
どこからともなく聞こえてくる生徒達のはしゃぎ声や、車のエンジン音、鳥の鳴き声なんかを何となく聞いてるのも好き。
屋上とはそう言った落ち着いた空気のある場所で、以前はよくここに足を運んだものだ。
しかしながら、季節はまさに夏。
海が恋しくなる季節である。
隔てる物のない屋上、かつ僅かに太陽に近い気もするこの場所は、直射日光の直撃を喰らう場所でもあるのだ。
「まぁ、さらに付け加えるなら、ちょっと懐かしくなるんだよ。ここは」
「懐かしいって?紗那を助けたあの時の事かな?」
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