プロローグ 開演する終幕

4/11

2193人が本棚に入れています
本棚に追加
/682ページ
こいつはもしかしてなかなか謎な人間なのかもしれない。 「それで、兄さんはここで何してたの?」 「そうだな、強いて言うなら太陽とタイマンしてた……といった所か……」 俺が屋上に来た理由は特にない。 元々高いところは好きだったし、そこから見える景色や、優雅に流れる雲を見るのも好き。 どこからともなく聞こえてくる生徒達のはしゃぎ声や、車のエンジン音、鳥の鳴き声なんかを何となく聞いてるのも好き。 屋上とはそう言った落ち着いた空気のある場所で、以前はよくここに足を運んだものだ。 しかしながら、季節はまさに夏。 海が恋しくなる季節である。 隔てる物のない屋上、かつ僅かに太陽に近い気もするこの場所は、直射日光の直撃を喰らう場所でもあるのだ。 「まぁ、さらに付け加えるなら、ちょっと懐かしくなるんだよ。ここは」 「懐かしいって?紗那を助けたあの時の事かな?」
/682ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2193人が本棚に入れています
本棚に追加