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        ぴちゃ…     外は雨。     ベランダの鉄柱に雨が音をたてて落ちる          「あ, 栞ー先生呼んでるよー」     ドアを開けて,クラスメイトが顔を覗かせている     「ん…あぁ,はいはい」        ありがとうと言って      また先生か…      心中呟きながら教室を出る。      職員室に着くと           「堀崎さぁーん…!!」           と,涙目でバグしてくる            宇野友香子先生,25歳,独身,ショートヘアで愛想のいい可愛らしい先生。      「あの…なにかご用ですか?」      「あのね…、私やっぱりあの人は駄目って思ったのーっ」            ううっ…      っと泣きながら言う      相談相手になっているが、毎回このような感じで全く結婚まで行き着かない。      「また新しい人がいますよ…、じゃあ,戻りますね」      背中をぽんぽんと叩きながら離れて,      「あ、ちょっとまって!」       振り返って帰ろうとするところを腕をぐいっと引かれて遮られ,       紙束を渡される     「あのね、今、3組の朝婆くんて子が相談室にいるの。その子にこれ,渡してくれる??」      ギクッとして     「え、なんで私が…」     朝婆といえば     先輩後輩関係なしに暴力を振るうという学校内では有名で(悪い意味で)問題児。     私とは全く無縁の人物だし     まぁ私が渡しにいったからどうこうなる訳じゃないけど…      「私…ごほっ…ちょっと風邪っぽいのよねーっ…ゴホッ 移したら大変だから,私は仲のいい堀崎さんに頼んだのよー」           あははっと笑ってわざと咳き込んで見せる宇野先生に私は”怖いからじゃないんですか”と言うことを止めたのだった
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