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リビングに移動すると緑色のソファーに腰を下ろして床に散らかっている脱ぎっぱなしの服の中からテレビのリモコンを探しだした
テレビの電源を入れるとパリッとしたピンク色のスーツに身を包んだ、30代くらいの女性が真剣な表情で原稿用紙を読んでいた、龍一は食パンをかじりながらニュースをみている
女性が原稿用紙を捲って次のニュースを読み上げていた、テレビ画面は、天気予報から野菜畑に切り替わった
゛えー、次のニュースは全国的に今月の最高を大幅に上回る暑さで野菜の高騰化が進んでいます、特にキノコ類は例年の三倍ほど値上がりしています。゛
『へぇ、野菜ねぇ・・俺には関係ないな、野菜もキノコも大嫌いだしさ』
テレビに向かって一人語とを呟いた、一人暮らしに慣れてくると自然に一人語とが出てしまうのだ、ふと、時計を見上げて龍一は青くなった
時計の針は7時55分を指している
『ヤバッ!』
テレビを消して残りの食パンを口に無理やり押し込んでコップの水で流し込んだ、そしてパジャマをソファーの上に脱ぎ捨てて、壁にかけてある制服を乱暴にひっ掴むと、それを着て鏡の前で整えた
龍一のトレードマークはアシメ風の髪型にだぼっとしたズボン、ワイシャツの襟をわざとはだけさせた姿だった、髪型を丁寧に整えて靴を履いて外へ出る
猛ダッシュで学校に続く長く急な坂をかけあがっていった、ちょうど半分登った所で門の前に誰か立っているのか見えた
担任の前田サトシだ、体育の教師だが引き締まった体と相反して弱々しい毛根、生徒からは゛熱血筋肉ハゲ゛というネーミングで呼ばれている
『げ、前田かよ...』
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