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前田は龍一の存在に気づくと腕時計で時間を確認して意地悪そうな不適な笑みを浮かべて門を閉めようとしている、熱血教師の前田は毎回遅刻してくる龍一を目の敵にしていた
『羽山~!これで遅刻56回目だな』
しかし、龍一も負けてはいなかった
さらにスピードを上げて門が閉まるギリギリのところをすり抜けたのだ、そして振り向き際に 、龍一は前田にこういい放った
『まだ、゛55゛回目だっ!ハゲ!』
前田は、ハゲと呼ばれた事に衝撃を受けた、龍一の後ろ姿をぽか~んと口をあけてだらしない顔で見送ると、しばらくして前田は自分の残り少ない髪の毛に触れて小さく呟く
『羽山よ、俺はまだハゲではないぞ、ちょっと薄いだけ・・・・じゃない。お灸を据えてやらんとならんな』
一人残された前田に、始業を告げるチャイムが虚しく鳴り響いた
その頃、龍一は教室のドアの前まできていた、龍一がドアを横にスライドさせてドアを開けると一斉にクラスメイトたちは龍一をみた、そしてすぐにまたざわざわと話声が聞こえてきた
その中からクラスメイトたちをかき分けるようにやってきたのは、俺の大親友、新屋徳成(シンヤトクナリ)だ、俺はとくやんと呼んでいる、眼鏡でボサボサ頭だが頭はいい
『おはー、龍一、今日も遅刻かい?』
『おはよう、とくやん今日は遅刻じゃないよ』
龍一は前田に勝った事を思い出しながらルンルン気分で自分の席に座り、1時限目に使う教科書を机の中からひっぱりだした
(えーと、1時限目は音楽か)
『龍一が遅刻じゃないなんて嵐でもくるんじゃないか』
『おいおい・・・冗談キツイな』
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