1章

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なんの用事もない俺と違って、とくやんは叔母ちゃんが入院したり、生徒会会長に任命されたりと忙しい毎日を送っているようだった、だから俺は過労でおかしな幻覚が見えてるもんだと思っていた、この時はあまり真剣に話を聞いていなかった 『信じられない・・よな・・。やっぱり俺の勘違いだったのかも』 『とくやん、ちゃんと睡眠をとったほうがいい』 『あぁ・・・分かった』 とくやんは体を前に向きなおして、机の中から音楽の教科書を取り出すと、龍一と共に教室から出ていった、クラスメイトが誰もいなくなった、がらんとした教室のカーテンの裏から黒い影かゆらゆらと煙のように出てきた 『見つけた』 その黒い影はすぅっと開いている窓から外に出ていった・・・ しばらくして授業が終わって龍一ととくやんが教室に戻ってきた、とくやんはもう噂の事には触れなかった 『いや~音楽ほど良いものはないね』 『とくやんは音楽好きだからな、俺にはいい子守唄になったよ、あれ・・・?俺の机になんか乗ってないか?』 龍一は自分の机に乗っていた物を手に取った、それは可愛らしいピンク色の封筒で宛名は『羽山龍一さま』となっていた 『こ・・・これはまさかラブレター?!なんでなんの取り柄のない龍一が俺よりモテるのさー!』 『なんの取り柄のないは言い過ぎだろ・・・・いや、多分これは果たし状だな』 龍一のだらけた感じが気に入らないのか上級生や他校の悪ぶっているやからに目をつけられており、果たし状や待ち伏せなどはしょっちゅうだった、しかし、龍一はそれをことごとく無視していた なぜなら面倒だから理由はその一点だけ
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