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『でも、手紙を出すくらいだから大事な用事なんじゃないかな?』
『さぁな』
龍一は手紙をカバンに詰め込むと、大きな欠伸をして自分の机にうつ伏せになって寝てしまった、とくやんは諦めて自分の席に着いた、そして3時限目、4時限目と過ぎて俺が待ちに待ったこの時間がやって来た
『やっと終わったー!とくやん、お先!』
俺は枕代わりに使っていた教科書を乱暴に机に突っ込むと、ある場所へと急いだ、それは食堂だ、今日は水曜日カレーの日なのだ。数あるメニューの中でもダントツの人気を博しているのが食堂のオバチャン特製シーフードカレー、毎回すぐに売り切れてしまう、その為みんな我先にと食堂へと向かう、まさにカレー戦争だ
(俺が寝て体力を温存していたのはこのときのため!)
龍一はものすごいスピードで階段を下りて廊下を走りさった、そして一番乗りで食堂にたどり着いた、部屋中カレーのいい匂いで充満している。
『オバチャン!シーフードカレー特盛でよろしくっ!』
『はいはい、そうくると思ってもう拵えといてやったよ』
そう言って笑うオバチャンの手には特盛シーフードカレーがあった、俺は感動のあまり泣きそうになりながらも、待ちきれずカレーを受け取って窓側の席に着いた、少し遅れてとくやんが俺の向かいの席に座った、俺は既に三回目のおかわりを取って戻ったところだった、何回おかわりしても無料というのがこの食堂の凄いとこ
『龍一は相変わらずカレー好きなんだな』
『そういうとくやんこそ、カレーうどんが好きなんだな』
とくやんと俺は正反対な性格だが、カレー好きと言うとこだけは同じだった、普段ならゆっくりこうして話をするが今日はとくやんはいつもより急いで食べているようだった、と言っても俺からしたらかなりゆっくりなんだけど
『急いでいるようだけど、今日はなんかあるのか?』
『何って、夏祭りの準備があるじゃないか、俺は会長だから遅れる訳にはいかないのさ』
『夏祭りかぁ、そんなのあったな』
西南高校では毎年、8月に文化祭で夏祭を開催している、出店やお化け屋敷、歌声コンテストなど、様々な催しがある、さらに文化祭が終わった夜、生徒たちが集まり近くの河川敷で花火大会をするというのが毎回恒例になっている
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