1章

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しかし、俺は一年の時、入院していたから参加はしていなかった、体育館の屋根で昼寝をしたら前田にまたたま見つかってしまい慌て逃げようとして足を滑らせて落ちてしまったのだ、腰を骨折して全治3ヶ月の重症だ (夏祭りと聞いてイヤな思い出まで思い出してしまった) カレーを食べる手を止めて前田に対する怒りをふつふつと溜めていると、とくやんが湯気で曇った眼鏡を拭きながらこちらを見ている 『龍一、去年は参加してないよな?』 『・・・ああ、参加していない、入院してたからな』 『あ・・それで神崎稟が手紙を書いたんだね、龍一を誘いたいのさ』 『・・は?あり得ないだろ』 『幼なじみで中々言い出せず、手紙で呼び出すなんて健気なだなぁ~まあ、俺は数えきれないほどもらってんだけどね~』 とくやんは俺の話など聞いてない様子で完全に自分の世界に入ってしまっている 『おーい・・・』 (全く俺の話を聞いていないな) ふと、前田の顔が、頭に浮かび、再び薄れかけていた怒りがこみ上げあてきた、するといきなり食堂の蛍光灯がパァンと割れてしまった、食事を取っていた生徒たちの悲鳴が聞こえて、それを聞き付けた先生たちも集まってきた (ヤバい、またやってしまった・・) 感情が高まると家電や蛍光灯が激しく光ったり最悪壊れてしまう現象がおきてしまうのだ、龍一は面倒な事に巻き込まれたくないと思い、カレーの皿に半分ほど残ったごはんを一気にかきこむと、逃げるように急いで席をたって食堂を出た、しかし、教室へは向かわずに龍一は階段を一段飛ばしでかけあがり非常口から外にでる、そして立ち入り禁止の札を飛び越えてたどり着いた先は屋上だ 『やっぱりここは静かで落ち着くな、ファア~、ちょっと寝よう』 ゆっくりと白いフェンスに背中を預けて座り込んだ、コンクリートのざらついた手触りと夏の暑さに反比例した冷たい感触に幸せを感じる、龍一は座ったまま数分もしないうちに深い眠りについた
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