(二)傍観

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不審に想いつつも指で赤い「→」マークをタップすると、スマホの画面全体に、とてもリアルな樹海の景色が広がった。 「なんだこれ?こんなジャングルみたいな設定が就職適性試験のゲームなのか」 しかし戸惑っている暇もないうちに、スマホの画面の向こうから…「ハァ、ハァ」荒い息づかいが聞こえてきた。 やがてその息づかいと共に、草をかき分け走って来る何者かの足音が、じょじょに近づいて来た。 画面の奥から聞こえるリアルな息づかい。 草のこすれる音。 手にしたスマホが激しく振動して、僕は危うく落としそうになった。
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