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――僕は死ぬのだろうか。
……きっとそうだ。
あれほどの息苦しさも、熱さも、今は何も感じない。
苦しくない。
痛くもない。
何もわからない。
これが死というものなのか。
死ぬ寸前、人は走馬灯のように、それまでの人生を思い返すという。
どうやら僕も例外ではなかったようで、見覚えのある映像が浮かんでは消えていった。
それは今まで僕が体験してきた全て。
そして、いつもその中心にいるひとりの少女。
「……り……さ……」
喉の奥から、掠れきった声がもれた。
目尻が熱く湿っていくのがわかる。
――――理沙。
駄目だ。
死にたくない。
君に伝えないといけないことがある。
神様。お願いします。
どうか彼女に届けてください。
僕のせいで
たくさんの人に責められて
泣くことも許されず、
ただひたすらに戦っている彼女に
僕の最後の願いを
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