第2章

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「……あ! もう8時過ぎとる。テレビつけるな」 東京行きの許可がおりて安心したらしい理沙が、おもむろにリモコンを持ち出して、居間のテレビの電源を入れた。 「あ! 理沙、やめや! 食事中に行儀悪い」 おばさんから注意されるものの、気にする様子はない。 いくつかチャンネルを回し、バラエティ番組で手を止めた。 有名な司会者がしきるトーク番組。 10人弱の芸能人が雛壇に座り、恋愛をテーマに赤裸々(?)な話を繰り広げている。 その中のひとり…… 『やだー、そんな男、やめときなさいよ。 アンタ、その男からしたら、都合のいい女ね。ヤダヤダ!』 大きな身ぶり手振りで、毒舌に女性タレントの恋愛観をぶったぎる人物。 口調は女性だが、れっきとした男だ。 パッと見は、かなりのイケメン。 金髪に染めた髪を無造作に流している。 まあ、いわゆる『おネエ』キャラってヤツだ。 ……他でもない このおネエこそが、ヨロズヤ・ジョージ。 バンド時代は、全くしゃべらない寡黙なイケメンで売っていたが、解散した途端、その本性を現した。 今では、様々な芸能人に楽曲を提供する一方で、そのキャラクターをいかして、バラエティ番組で活躍している。 彼の音楽センスとギターの腕前には定評があり、プロデューサーとしても有能なのは『チョコレート・デイズ』が売れたことからもよくわかる。 だけどなあ…… (理沙、ホンマにこんなヤツにプロデュースされたいんか?) クネクネした動きで、客席の笑いを持っていくヨロズヤを見ながら、何とも言えない気持ちになった。
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