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「ヨロズヤさん……」
強く、何より優しいヨロズヤさんの瞳。
そんな目で、そんな風に力強く言われたら、もう私は勝手なことなんて言えない。
ただ、この人を信じてついていく。
それだけだ……そう思った。
だから私はヨロズヤさんを見つめて、わかりましたとうなずく。
……いや、うなずこうとした。
でもその瞬間、スタッフが一人、慌てた様子で部屋に駆け込んできたのだ。
「し、失礼します!打ち合わせ中にすみません!」
みんな一斉にスタッフに注目する。
彼は息を切らし、焦りなのか走ったからなのかよくわからない汗で顔を濡らしていた。
その顔は青ざめているようにも見える。
「……どうしたの?何があったの」
ヨロズヤさんが尋ねる。
「は、はい!あの、観客がみんな騒ぎはじめて……」
「ああ……もうコンサート開始予定時間を大幅に過ぎてしまっているものね。早急に中止のアナウンスを流しましょう」
「いえ!それが、コンサートが始まらないで騒いでるというよりも、何があったか心配しているみたいなんです。
どうやら四織さんたちが襲われたことがどこからか漏れたみたいで、SNSですごい勢いで拡散されているらしいです」
「なんですって!?」
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