第七章

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ザワッと新たな動揺に包まれる。 ヨロズヤさんがスタッフに詳細を確認すると、どうやらアルバイトで会場整理をしていた一人がいつの間にか今回の事件を撮影していたらしい。 「……で、それを面白半分でSNSに投稿して……ということね」 投稿された動画には『キンパツさん』が警備員に押さえられるところと、腕を切られ怪我をした私、血がついたナイフなどが映されていたらしい。 気づいた段階で投稿を削除させたらしいが、そのときには別の人物が保存して新たにあげ直したりして、今では収集がつかない状況のようだ。 「はあああ……、全く。スタッフを急遽増やしたのが却って良くなかったわね。 とりあえず、動画の拡散については事務所の方と相談しながら対処します。 ……まずは、会場に来てくださっているお客様への対応を考えないと」 ヨロズヤさんは投稿された動画をスタッフに見せてもらい、何かを考え込む様子を見せた。 「……映っているのは四織だけね。動画へのコメントを見ても、四織への心配や推測のものばかり……」 ぶつぶつ呟きながら、ヨロズヤさんは私に目をやった。
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