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「……少し」
ヨロズヤさんは絞り出すような声で言った。
「………少し、対応を変更します」
ひどく迷っているような様子だった。
「四織」
ヨロズヤさんと私の目がしっかりと合う。
「……あなたから、説明をできる?」
「え……」
またざわめきが起きる。
さっきよりもざわめきだ。
みんなヨロズヤさんが何を言っているかわからない…といった様子。
私も咄嗟には理解できなかった。
だけど、ヨロズヤさんの目は真剣そのもの。
その瞳を見つめるうち、私はだんだん自分のすべきことが見えてきた気がした。
「説……明、ですか?」
「そう。別にさっき起こったことを詳細に話せと言うんじゃないわ。ただ、あなたは……大丈夫だと、心配しないでほしいと。
あなた自身の言葉で、ファンのみんなに説明してほしい。
……できる?」
真剣な目、重い口振り。瞳の奥に隠していてもちらつく動揺。
ヨロズヤさんですら、迷っていることがわかる。
もし私が少しでも不安そうにすれば、ヨロズヤさんは今のこの提案を取り下げるだろう。
だから、私は笑った。
「はい!もちろんです。うち、みんなにちゃんと話してきます!」
だって私はアイドルなのだから。
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