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「………っ」
私は膝の上に置いた手をぐっと握る。
手のひらの中。嫌な汗がにじむのがわかった。
ヨロズヤさんの決めたことに不満があるわけじゃない。
私のせいで起こったトラブル。
メンバーにも。スタッフさんにも。ヨロズヤさんにも。
…ファンのみんなにも迷惑をかけている。
だから私が、私自身が、私の言葉でちゃんと説明しなくちゃ。
私は大丈夫、って。……そう言って笑うの。
みんなを笑顔にするために。
「……」
そう覚悟は出来ている。わかっている。
なのに、それなのに。
握りしめた手が震えて止まらない。
「………っつ」
大丈夫、大丈夫、大丈夫。
しっかりしなきゃ。しっかりしろ、私。
みんなのために。そして……
そして……
(涼ちゃん……)
ぎゅっと目を閉じた。
まぶたの裏。
彼の姿が浮かぶ。
でもそれは
「理沙」
「え?」
震える手に添えられた手の冷たさで消えてしまった。
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