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「手を繋ごう」
そう言って、俺は彼女に遠慮なく手を伸ばした。唐突だったのかもしれない。彼女は、きょとんと目を瞬かせた。それでも、直ぐ後には笑みを浮かべた。仕方ないなぁ、と言いたげに目尻が下げられる。しかし、とても優しい笑みだった。
ゆっくりと、彼女の手が差し出される。その手を、俺はしっかりと握り締めた。さり気なく、指先を絡める。
「……?」
ふと、気になった。繋いだ彼女の手が震えているのだ。彼女へ視線を送る。俯いていたので、表情は読めなかった。それでも。
繋いだ手から伝わる温もり。
それはとても温かかった。
その温かさを感じると、心が緊張してしまう。
彼女と手を繋ぐといつも落ち着かなかった。
何故だろう。
やっぱり恋をしているからなのか。
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