氷の花

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それはキンと冷えた冬の夜だった。俺は自室で本を読む。街の図書館で借りて、タイトルは忘れた。ただどことなく冷たいガラスのようなイメージの作品だったのは覚えている。 コンッ。窓ガラスに何かぶつかった音。カーテンを空け、なんだと思って見る。彼女が外で手を振っていた。 溜息一つ窓を開ける。 「ねぇ、君。星を見に行かない?」 寒さで顔を赤くしながら、悪戯っぽく笑う。 彼女は近所に住んでる、所謂幼なじみという奴だ。長い付き合いで、俺のことを一番良く知る他人。同時に俺が一番良く知る他人。
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