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~悲恋華境~
「おはようございます。」
バイト初日。
高校に上がったらバイトしてもいいという親との約束通り始めたバイト。
初バイト。
初面接。
入試のときの面接とはまた違った雰囲気。
普段は入らないコンビニの裏側に通され、個室のようなところで店長と二人。
「高校一年生で16歳か。若いね。」
にこやかな笑顔で履歴書と私を見比べる。
「バイトは初めて?」
「はい。」
緊張しすぎて自分でも固くなっているのがわかる。
友達がいっていたような簡単なことを聞かれ、
「じゃあ採用ってことになったら明日、電話するから。」
「わかりました。」
お礼を行って、事務所のような物置のような場所から出る。
喉が渇いたのでジュースをとってそのままレジへ。
「どうでした?」
ふと、レジをしてくれた男の人が声をかけてくれる。
「あ、はい。明日連絡するとのことでした。」
「そっか、受かるといいね。」
出るときに名札を見ると『辰野』と書かれていた。
辰野さん…
それが、私が一番始めに覚えた名前だった。
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