~悲恋華境~

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篠原さんとは同じ時間に入ることが多く、バイトとしてやることをいろいろと教えてくれた。 品出し、期限切れのお弁当の処理等。 本当にやさしくて親切で、まるでお姉さんのような人。 もっとも… 優しいのは篠原さんだけじゃなく… 「愛華ちゃん、わからないことあったらなんでも聞いてよ。」 「まだ高校生でしょ?かわいいなぁ。」 「今度どっかに遊びにいこっか?」 などなど… 一緒に入る男の人からそういう風に話し掛けられることが多い。 かわいいとかいわれて、悪い気はしない。しないけど…… ほとんどの人が20歳以上。 さすがにちょっと…話すこともないし… 唯一話すのが篠原さん。 彼女も年上だけど同じ女だし、なにより話やすい。 そしてもう一人例外が…… 「おはようございます。」 「おはよう。」 …………… あと無言。 こっちも話すことなにもないけど……。 き、気まずい……! ちらっと横目で伺う。 腕を組んでぼんやりと店内を眺めている。 この角度だと名札は見えないが名前は覚えている。 初めて覚えた人… 辰野さん。
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