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ーー見るべきではなかったかもしれない。
バケモノの口から発せられる呻き声に吐き気を催し、口を抑えながらどうしようもなく後悔した。
”危ない、これは、本当に危ない…!”
まさか、こんなバケモノが出てくると思わなかった。
”直ぐに、引き返そう…!!”
危機を知らせる本能に彼が振り返り、元来た道に行こうと木々から離れた瞬間だった。
突如バケモノの呻き声が金切り声に変わり、その水瓶を水面に叩きつけた。
波立つ水面に巻き込まれ、その水圧に、小柄な少年の身体は吹き飛ばされる。
「うわあぁっ!」
襲い来る荒波に、悲鳴を上げた。
瞬間、しまったとも思った。
口を押さえ振り返る。
バケモノは既に、少年を視界に捉えていた。
「殺される…っ!」
慌てて立ち上がり、態勢を直して、街へ走り出す。
が、向こうから見ればこっちはトロいネズミのようなものだ。
その機動力には、圧倒的な差があった。
”逃げられない…!!”
バケモノが水を割きながら、こっちへ向かってくる。
少年は、声を振り絞って叫んだ。
「た、助けてっ!!」
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