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携帯電話のタッチパネルに触れようとした瞬間、突如優しいクラシック音楽が鳥の囀りに重なり合った。
ディスプレイを確認。『啓祐さん』とある。
直ぐさま通話ボタンを連打し、相手の言葉を待つ間も無く弾丸を浴びせ掛ける。
「……も、しもし啓祐さん? 丁度良かった。今私からも掛けようと想ってたの。でも啓祐さんも掛けてきたって事はやっぱり病院から電話が来たのね? 嘘よね。だってあの娘が死ぬ筈無い……」
「落ち着いて。今、病院に向かっている。桜夜、お前も直ぐに向かえ」
「え、待っ」
反応する事も出来なかった私の耳には、不快な電子音だけが嘲笑うかの様に纏わり付いていた。
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