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何だというのだ、一体。
咲夜が死ぬ筈が無い。だって、あの娘は特別なのだ。
信じている。
だけれど、そんな漠然とした希望の光は、どうしようもない私の不安を照らし出しただけだった。
その事に、更に追い立てられている様な感覚を覚える。
「……まあ、どうせ、ドッキリ……よ。ね?」
声が震えている。
鼓動が激しい。
中途半端な……いや、確信めいた表現だったとしても、それは私を不安にさせるだけだった。
しかし、ポジティブ思考で何でも乗り越えられるという私だけのジンクスを、今更捨て去る事など出来はしない。
取り敢えず、行くだけ行ってみようと想う。
姿見で自らの佇まいをチェックする。
何等問題は無い。
目の下の隈も、乱れた髪も見逃して、歩み出す。
すっかり眠気が去ってしまった脳で、どうせドッキリだろうとリアクションを考案しつつ、もしも咲夜が本当に死んでしまっていたら、どうするのかを無意識に考えながら。
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