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目的地、細淵病院には十五分弱で着いた。本来なら二十分は掛かっていた筈だろう。
タクシーのドライバーに急げ急げとまくし立てた甲斐があったというものだ。
法廷速度をぶち切ったが、問題は無い。ドライバーのクビ一つで済む。
運転免許くらい取っておけという啓祐さんの言葉を無視しなければ、十分も掛かっていなかったかもしれない。
呆然自失としているドライバーに福沢諭吉を押し付け、脱兎の如く駆け出すと、細淵病院の回転扉を蹴る勢いでくぐる。
そのままナースステーションの不っ細工な若きナースに間宮との会話の旨を伝える。
ナースは気遣う様な言葉を発すると、奥に消えて行った。お前は自分の顔を気遣え不細工。
程なくして、かなり老いている男が姿を現した。
胸の名札には間宮とある。電話の男だ。
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