喪失と湧出

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「……はい? 意味が解らないのですが……?」  間宮(まみや)とか名乗った人物は暫く沈黙する。  ……こっちは眠いのに、ふざけた真似をする。  余程電源ボタンを押してやろうかと想ったが、電話越しにも伝わる程大きく息を吸う音が聞こえたので想い止まる。  しかし、次に聞こえてきたのは、私を噴怒足らしめるには充分過ぎる無慈悲な戯事。 「心中お察しします。……身元確認の為、一度こちらにお伺い下さい。警察は後で大丈夫でしょう」  頭の中が、真っ白に燃え上がり、訳も解らず怒鳴る。 「悪戯なら余所でやりなさい! あの娘が死ぬ筈がない!」 「いえ、ですから一度―――」  苛立たしげな間宮の言葉を最後まで聞く事も無く、今度こそ電源ボタンを連打してこの無駄な問答に終止符を打った。  全く、何を言い出すかと想えば、ふざけやがって。
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