それは、ある満月の夜の事でした。

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ふわり ふわり 浮いているように体が軽い。 一体、ここはどこなのだろう。 見渡す限り真っ暗で、何もない。 樒影はぼんやりとした頭で思い返す。 確か、夜中に陣痛が始まって、急いで病院へ来たはず。 間隔がすでに短いので、すぐに分娩室へと運ばれた。 それからの記憶があまりない。 あるのは、見渡す限りの真っ暗な世界。 あぁ、俺はもしかしたらもう戻れないのかもしれないと直感的に思った。 子供達は無事だろうか 例え、この命に代えても子供が無事ならそれで・・ そう考えて、ふと獅桔の顔が過った。 獅桔なら、きっと立派に二人を育ててくれる。 子供達も、きっといい子に育ってくれる。 けれど、俺は誓ったんだ 誰よりも近くで 獅桔を幸せにするって 帰らなきゃ 獅桔の元へーーーー・・  
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