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「なにも…ない?」
当たり前だ
魔法なんて使えない俺にそんな芸当できるわけがない
「どうしたんだ?」
「なにをしようとしたんだ?」
周りの声でファロウがついに上を向くのを止めた
「貴様何のつも…!」
ファロウが俺を見つけたとき
すでに俺はファロウのすぐ近くにきていた
そう、ファロウや観客が上を向いた瞬間俺はファロウとの距離を一気に積めていた
そして俺はファロウ以外の奴等には勝てないがファロウにはこの距離、このタイミング、この隙ができれば唯一の勝ち筋があったのだ
俺はファロウを殴ろうと拳を握りしめ思いっきり振りかざした
「くらえファロウ!!」
ファロウはとっさに大剣でガード体制をとった
流石は元兵士といったところだろう…
しかしこの動作はフェイク!
「本命はこっちだよーん!」
がら空きになった下半身
さらにその一点
男のみが持つ急所に俺は自分の出せる限り最高の力での蹴りをお見舞いした
「ぐふぉぇ!!」
ファロウは不意の一撃に情けない声をあげ大剣を地に落とし腹を抱え地面にふさぎこんだ
「ウオオォォォォ!!」
俺は大剣を拾うとそのまま十字架を鎖ごとぶったぎり切り大剣を捨て落ちてきた少女を受け止めた
「ファロウさん!」
村人何人かがファロウによっていく
このままここにいたら間違いなく集団リンチだ
俺は先ほど目星をつけておいた逃げ道へと少女を背に乗せて走り出した
「キャアァァァ」
そこは女性の密集していた場所
村の用心棒をどういう形であれ地に伏せさせた男が向かってくれば力のない女はまず避けるだろう
俺はそのまま一直線に村の外へと飛び出していった
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