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「証拠も残らないんじゃ、流石の警察でもお手上げでしょうねぇ」
七件目の人たちはどうなのか分からないが、以前に消えた六件の被害者たちに繋がりは全く無いそうだ。趣味や家柄、出身地や母校など至る点とも照合されたが、共通している事など皆無だった。
無差別に狙われているのか、それとも世間から消えなくてはならない理由でもあったのか。
警察は夕方以降は外を出歩かないように一般市民に忠告している。そのせいもあってか最近学校のほうでも短縮授業扱いで早めの帰宅が求められている。それと同時に部活動にも活動時間に規制がかかった。当初は、どうにかならないかと生徒から抗議されていたのだが、如何せん命に関わることだ。そこは生徒側に折れてもらう他道はなかった。
「あーあ……」
椅子の背もたれに上半身を預け、天井を見上げる。
今のところ、ウチの学校関係者でこの事件の被害にあったという話は聞いていない。だからだろうか、こんなにも安穏としていられるのは。
「完全無差別だって言うのなら、次は私かもしれないのにね」
静かに苦笑するも、相手は天井なので返事が返ってくるわけもない。
「さて、片づけて明日の準備だな」
でも、と。内心私は思っていた。次の被害者が私であれば、どれだけ幸せなのだろう、と。
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