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ゼダと人形の炉に再度火が灯る。
相対する敵を少女へと変更。魔力は瞬間、瞬間にのみ爆発するように解放手順を設定。魔力充填率六十四%。術者から人形への魔力供給安定。不安定時、自動保護作動。
――準備は整った。後は開戦の狼煙を待つばかり。
だが、ゼダの想定した流れは早々に打ち切られる。
少女はゼダの発した言葉を少し吟味するとこの場に不釣り合いな微笑を浮かべ、口を開く。
「そうね。私も、貴方のような大きな力を持った方にはつくづく驚かされるわ。
この前は大気を操作できる人だったし、その前は海水を使った大規模な魔術儀式で太平洋のど真ん中にちょっとしたクレーターを作ってしまうような人だった」
優雅に語るその口調。柔らかな印象を持つ彼女の唇から甘く囁くように綴られる言葉。
聞き入るようなその声にゼダの脳内では激しく警報が打ち鳴らされていた。
――この女の話を、声を聞いてはならない。
だが、ゼダの身体は本能とは違い動くことを拒絶した。思えばこの時点で既に彼女の術中に嵌っていたのだろう。
少女の口は止まらないし、止められない。
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