第零話 『改変の時、魔女の存在』

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「そのふたりとも、醜く歪んで潰れてしまった。バラバラにされて、血反吐を吐き、身体の中身を撒き散らしてね。――それでも這ってでも動こうとするの。無い四肢を必死に動かして、助けてくれって処刑人に懇願して。今まで自分がしてきたことを考えたのなら、そんな戯言通るはずがないのに……。  生きる執念って凄いのね。時には美しく人の涙を誘い、時には醜く人の憎悪を湧き立たせる。だからね、執行部隊は容赦はしない。世界の害悪となる連中は片っ端から消し炭にするの。焼かれた者は聞くに堪えない断末魔以外は跡形もなく燃え尽き、この世からその存在を抹消させられる」  ゼダの中からえも言われぬ恐怖が募る。  語られた出来事は妄想や狂言でもなんでもない、ただの真実そのもの。  少女の目はただひたすらに黒く、奥を覗けば鈍色の錆びれた瞳が揺れなくゼダを見つめている。  ブレのない眼。年齢に似合わぬ言葉(真実)。そして―― 「さて、冥途へのお土産話はこのくらいで十分かしら? 私がココに来たのは貴方を私たち執行部隊が主催する舞踏会に招待するため――と言うより巻き込むためって言葉が正しいかな? どうせ招待しても音信不通の不参加ってことになりそうだからコッチから行っちゃえってことでね。でも客引きって大変なのよ。招待状作ったり、現地に足を運んだり、舞台を整えたりとね。まぁ一番大変なのは貴方みたいな乱暴者を引き込む事なんだけどね。  ――さて、今宵の喜劇は貴方にどんな末路をお届けするのかしらね」
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