0人が本棚に入れています
本棚に追加
「何なんです?僕、もう非番なんですよ!」
「…いや、それがまかり通るほど今日は平和じゃないらしい」
「はい?」
「とりあえず来てくれ」
訳も分からず羽城警部に着いていくと、ビルとビルの間にある、子どもふたり入れるほどの小さな路地裏に出た。
薄暗いが、蛍光灯の放つ光が足元をかろうじて照らしていた。
進むと、何やらざわざわと騒がしくなってきた。
なにかを大勢の警察が囲んでいる…。
「邪魔だ、邪魔だ退け!」と羽城警部は怒鳴りながら人を掻き分けた。
「ほれ、見てみろ」
そう言われ、僕は羽城警部の肩ごしから"それ"を覗いた。
なんだ?
―――なんなんだ?
"それ"は、明らかにヒトの胴体と思われる部分を綺麗に残して、あとの頭部、手足と思われる部分は原形を全くと言って良いほど留めていない。さらに恐怖を感じられずにいられないのが、"粉々に砕いて飛び散ったであろう頭部と手足の肉片を、頭部と手足の形に戻そうとしている"ことである。
鎖骨から上が、肩と恥骨から先を無くした胴体は、まるでオブジェである…。
「うっ…おえぇえ」
あまりの残虐さに吐き気が押し寄せてきた。
異常だ。
最初のコメントを投稿しよう!