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「警部…もう僕は無理かもしれません」
喉は渇いている。でも僕はコーヒーに手を着けない。無糖が嫌いなのはそうなのだけれど、そういうことじゃなくって、とてもそんな気分じゃないのだ。
「まあ、待て。そりゃあ、いきなりあんな死体見せられたら誰だってそう思うわな。だがな、俺達は警察官だ。市民の安全を守ってこその警察官ってもんだ…だからお前も志願したんだろう?」
そうだ。
市民のため、町のため…。そう想って警察に志願した。
でも。だからって―。
「残虐過ぎます!"殺人"ですよ!?ヒューマノイドを解体するのとは訳が違う!ヒトを…!警察って、交通"事故"や、家庭内"トラブル"を処理する組織でしょう!?」
「ああ。そうだ。でもな、起きてしまったからには警察が動かなくちゃならんよな」
「……。」
正論だ。殺人なんてものを片付けられそうな組織は、他に存在しない。
「実に二百年ぶりの"殺人事件"だ、行こうか」
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