仄暗い青空

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キツい。 何が、っていうと、朝に起きるのが、だ。元々僕はそれほど朝に強いほうではなかったが、今朝はいつもより増して辛い。 昨日の夜、僕と羽城警部は調査の為に殺人現場周辺の監視カメラの映像を確かめた。あれだけの現場が出来るには、それだけの返り血を浴びなくちゃおかしいという前提での捜査だったが、すべての映像を夜通し見てもそれらしき人物は見当たらなかった。何千もの群衆が集まる平和式典のパレードの最中に、たかが少し日が陰る路地で、あんな犯行が出来るわけがない。メインストリートの大路地からなんと10mも離れていないのだ。 報告を受けた上司達は会議で声を荒げた。 「なぜ見つからない!お前達、ちゃんと隅々まで探したんだろうな!」 「じゃあアンタ達が探してみてくださいよ。俺が見つけられなかったんだ。アンタの眼じゃ24時間分の映像をコマ送りにしたって見つかりませんよ」 羽城警部はそう言ってメモリーデバイスを机に投げた。 「・・・フン」 やはり上司は映像を見るつもりはないらしく、デバイスはそのままに話を続けた。 「それでは、なぜ見つからないのかを考えようじゃないか」 「隠してるんじゃないですかね」 一人の若い警官が声を上げる。 「何を?」 「ですから、犯人を、ですよ……」 若い警官は眼を細めて答える。 かわいそうな人だ。 この若人のほうが上司達よりも有能なのは今ハッキリとわかった。
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