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ベッドにブランケットを被って眠るエリカを揺すった。
「ん~」
眠そうな声を上げて緩慢な動きで体を起こした。
エリカの服がはだけている。
華奢で色白な右肩が露わになっている。
「おはよー」
エリカが眠そうな目をこすりながら言った。
「仕事の時間だよ」
気まずさのあまり、声が高めになってしまった。
しかしエリカはそんなことに構わず話す。
「わたしね、夢をみたの。お兄ちゃんと眠る夢」
あれは夢だったのか?
そんなはずはない。
エリカの息遣い、感触、声、どれをとっても現実的な生々しさがあった。
「お兄ちゃんなんていないのになぜかその人はお兄ちゃんだと思えたの。それにね、いないはずの人なのに愛してるって気持ち
で胸がいっぱいだったの」
まさか!
僕はなんとなくわかった気がする。
エリカは兄の存在を山名さんに頼んで頭から消してもらったんだ。
理由はわからない。
僕の妹のように死んだのかもしれないし、ケンカをしたが未練があるのかもしれない。
「でね、そのお兄ちゃんはね、似てたの。赤松くんに」
それは当然だ。
エリカが抱きしめたのは僕自身なのだから。
「そしてわかった。わたしは赤松君のことが好きだってことに」
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