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そのとき僕の心臓が一瞬動きを止めたかと思えた。
まるで心臓があっという間に氷結したかのような心地がした。
「ずっと抱きしめていたいと思えた。だって私の好きなにおいがするんだもの」
不愉快だ。
なんとなく胸のあたりがむかむかする。
原因はわかっている。
でもそれを理解したくない。
とても辛いことだから。
空白が嘲笑っている。
それでも僕は受け入れられない。
その代替行為としてエリカを受け入れた。
僕はエリカをそっと抱きしめた。
妹にできなかったことをエリカにしている。
いや、目の前にいるのはエリカではない、妹だ。
エリカの瞳に映るのも僕ではなく兄だ。
そして僕らはかつて踏み越えられなかった線を突破するのだ。
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