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海沿いの道を車が僕ら3人を乗せて進んでいく。
目的地は一色さんが所有する海辺のペンション。
滞在期間は3日だ。
窓は開けられており、磯の香りが鼻腔をくすぐる。
「もうすぐ着くよ」
と一色さんが言う。
実際そう言ってから10分後に到着した。
ペンション自体は海に直接面しておらず、防砂林を挟んだ向こう側に海が広がっ
ている。
僕らは車から降りて荷物をトランクから取り出し、ペンションの中に運び込ん
だ。
「海で泳ぐなり砂浜で城を築くなりして遊んでもいいよ」
一色さんがそう言うので僕とエリカは海へ繰り出した。
僕は砂浜で山を作った。
残念ながら僕は城を築けるほど器用ではないようだ。
エリカは水着に着替え、青く輝く海へ飛び込んだ。
水が舞い上がり、公園の噴水を彷彿させる。
夏の日差しが彼女の白い肌を照らしている。
肌が日差しを反射してさらに白く見える。
エリカの先にあるのは遠い遠い水平線。
僕にはその先が見える気がする。
なにせ僕は線を越えたのだから。
しかしその線の先にある世界は正しいのかわからない。
本当は別の世界に行くべきなのかもしれない。
ここは間違った世界なのかもしれない。
汐によって砂の山が崩れていく。
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