第4話

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「ごちそうさま」 僕は夕食を食べ終えてお風呂に入った。 ヒノキの匂いが心地よく広々とした浴槽がお湯を湛えている。 浴槽に体を沈めた。 溢れたお湯が浴槽から流れていく。 僕の心から空白も妹のことも流れていかない。 この世界は不平等だ。 浴槽からお湯が減れば、次に入る人がお湯の量が少なくて困るかもしれない。 でも空白や亡き妹の呪縛が流れていっても僕もみんなも文句を言わない。 僕の心に絡みついている妹は生前食べても太らない僕を見て言った。 この世界はなんて不平等なんだろう。 まったくその通りだ。 でも僕は思う。 不平等さを改善する努力ぐらいはした方がいい。 洗面所と浴室を隔てる扉に手をかけたときに思ったことだ。 洗面所で服を着て歯を磨いて割り当てられた自室へと向かった。 僕は寝る。 お風呂に入った後はすぐに寝るのが僕の生活習慣である。 垢を洗い流したきれいなままで眠りたいのだ。 入浴後に起きていると、何となく汚れていきそうな気がする。 自室は防砂林に面した場所に位置する。 防砂林で隔てられているが遠雷のように潮騒が聞こえる。 カーテンがそよ風に吹かれてふわりと舞い、手招きするように僕を外に誘ってい る。
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