第4話

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それは妹が僕を呼んでいるように見えた。 こっちに来てと言っている。 僕は行かないといけない。 呪縛から解き放たれるときだ。 不平等な世界に石ひとつ投げてみようじゃないか。 そして僕は窓から外へと飛び出した。 裸足で防砂林を抜けて夜風で冷えた砂浜を歩く。 周りに街灯のような明かりはない。 今日は新月だ。 何も見えないため、いつ海水のあるところに達するのかわからない。 急にひやりとした感触が足首から下に絡みついた。 海に辿り着いたのだ。 僕は風が誘うままに海へ足を動かしていく。 体はどんどん海へと沈んでいき、完全に僕は海へと埋没した。
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