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「死ん……だ?」
俺は黙ったままで佇んでいるみんなの代わりに代弁していた。
そうじゃないと、俺自身が受け入れられないような気がした。
「嘘、だよね……雅人……」
俺と違って、今もなお、現実を受け入れられない香奈は、口を震わせながら言った。
それに対して……俺は顔をそむけることしか出来なかった。
「どうして……そんな事いうの?」
俺の手から離れると、彼女のはゆっくりと京太のもとへ向かっていった。
みんな、悲しみに彼女を止めない。
上から覆いかぶさるように倒れる彼女、それをただ受け止めるだけの京太。
俺や医師たちは見ていることしか出来なかった。
「そんな……そんな……………!」
二人だけの時間を作るべきと考えたのだろう。
医師たちは俯きがちになりながら、一旦その場を後にする。
俺もしばらく二人を眺めていたのだが、やること、かける言葉が無いと悟って、結局出てってしまった。
ドアを閉めて廊下に出ると、俺はそのままドアに背をもたれて座った。
後ろから漏れる、抑えきれていない嗚咽に、拳を握りしめることしか出来なかった。
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