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京太というのは中村京太という俺の中学からの腐れ縁だ。そして香奈の彼氏でもある。
今日病院向かうのも、彼が入院生活を送っているのから、そのお見舞いにいくというもの。
だから俺たちは学校の授業を終えて、ここまで歩いていたのだった。
夕方になるにつれて染まる赤色に包まれていると、俺はふと気づいたことがあった。
「しかし久し振りだな、京太に会うの。一ヶ月振りだから」
夏休みが終わろうとしたときが最後はだったか……
そう思いながら俺は自分で襟首を掴み、涼しい風を送り込ませていた。
「雅人いくら誘っても来ないもん。幼馴染みの頼みなんだから聞いてよ……」
「たまたまスケジュールが合わなかったんだ。仕方ないだろう」
「ほぼ毎日誘っているのに、そんな忙しい?」
「あぁ、俺には向こうにいる仲間達とチャットをするっていう大切な――――」
バシっ! という気持ちの良い音を奏でていたのだが、その根源は俺の頭からだった。
どうやらこいつは鞄で俺の頭を叩いたようで、
「幼馴染みよりサイト仲間の方が大切!?」
物凄い形相で睨んできた。
「……いいだろ別に。京太だって彼女にいつも見舞いに来てもらっているんだ。俺なんてお役御免さ」
「馬鹿。そういう意味で言ってるんじゃないわよ」
眉で不満を表した香奈は口も尖らせて、ブツブツと呟く。
その間にも歩き続ける彼女を見ながら、俺は問いかけることにした。
「んで? 京太のご容態ってのはどうなんだ?」
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