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翌日。
村のはずれに彼女はやって来た。
「旅人さん。お昼くらいは食べていきますよね?」
「そうだな。もしご馳走してくれるというなら、ありがたく頂く」
「それでですね! …………」
それから森の中でも、彼女の家に着いてからも、紅茶を出されてからも、彼女は俺を質問攻めにした。
他の国や、町のこと。
食べ物のこと。
メイカーのこと。
中でも彼女が一番驚いたのはセンターレイクのことだった。
「ほんとに行ったことがあるんですね」
「一回だけな。あそこはいいぞ。水が青いんだ。透き通ってるとかそういうわけじゃないんだ。青っていうのはあんな色のことを言うんだろうな。それに広い。向こう岸が見えないんだ。そこに教会が1つだけ建ってる」
「それが有名なセイント・ピース教会ですか」
「平和とか詠ってるけど、実際はお偉いさんたちが言い争いをしているだけさ。でも実際にあの景色自体はとても幻想的でいいもんだよ」
「……一度でいいから見てみたいです」
「旅とかしてみたいのか?」
「そうですね、おとうさ……師匠も探したいですし」
そこで彼女は暗い表情になり、
「やっぱりこの村の皆さんはよそ者の私をあまりよくは思ってないみたいですし」
とつぶやいた。
「ロス・マルス……親なのか?」
「はい……義理のですけど……」
そういうことか。
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