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だけど―― 「ヘイ、ようパス」 振り向くとサッカーボールが軽く浮き上がってきた。僕は胸でボールをトラップして、膝でいい位置に浮かせてそのボールを放った相手にボールを返した。 「さすがたな、陽」 こいつの名前は三木原、クラスメイトで友達だ。三木原はリフティングの要領でボールを受け、こちらにボールを返す。「ちょっと三木原、やめなさいよ教室で」女子達が注意するが、 「大丈夫、大丈夫」 三木原は軽く答える。三木原はサッカー部でエースと呼ばれている。僕自身、運動神経はいいからよくサッカー部に誘ってくるが、その度に僕は断っている。 「三木原の成績はどうだったの?」 「平均だったよ、クソお前は赤点取れ」 僕は女子には勉強に時間を費やしてると答えているが、それは嘘だ。補習などで時間を取られたくないから、授業を真剣に聞いてるだけなんだ。それに三木原だって頭が悪いわけでなく、サッカーで時間を取られて勉強する時間が少ないだけである。
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