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「何かよう?」 「ようなんて……ただ挨拶しただけだから」 顔を伏せて、もじもじと答える茜さん。 「一緒に学校行く?」 「そ、そんないいよ。それじゃ!」 茜さんは走り去っていく。 「なにあの娘~?」 「わからないけど毎朝挨拶してくれるんだよね」 茜さんももっとみんなと仲良くすればいいのに。 「きゃっ!」 走っていった茜さんは前のめりに地面に激突した、鞄から教科書や本が散らばる。 「茜さん!」 僕と女子達は駆け寄った。 「そそっかしいわよ、あんた」 「大丈夫?」 「気をつけなさいよ」 女子達も心配はした様子で声をかける。僕は散らばった教科書や同人誌をまとめて、上半身を起こした茜さんに差し出す。 「はい、茜さん。大丈夫?」 茜さんは鞄に積み込み、真っ赤な表情で僕から目をそらすと、何も言わず再び走り去っていった。
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