初日:転校

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「はい、はい皆さん静かにして下さい!」 担任の先生が生徒が騒いでいるのを静かにさせる。 「お願いだから……私の話を聞いて、泣きたくなっちゃうじゃない…」 先生の瞳から涙が溢れそうになっている。 生徒が慌ただしくなるのは、長い間休みに入るか転校生が来るときだけになる。 「良かったわ、皆良い生徒で。入ってきて下さい」 がらがらと音を立て教室の扉が開く。 ゆっくりと落ち着きのある優雅な歩き方。先生の横に行き、黒板に自分の名前を書いた。 ー-ー逆楢みこ。 「じゃあ、自己紹介して貰えるかしら」 頷き、「私は、親の仕事の転勤で、転校してきました。宜しくお願いします」 ゆっくりとお辞儀をして自己紹介を終えた。 すると、爆音のような響きが教室中に響き渡った。やった、クール美少女が来た--!!とか、男子以上にカッコいいわ!とかその他諸々。 「静かにして--!!」 先生が騒ぎを止めようにも生徒の耳には、先生の声は届いていない。 先生は、この学校に赴任してから3年が経つ。仲田春枝(なかだはるえ)、独身。そろそろ結婚しないと危ないと危機感を感じている歳。 この学校、成賀(なるが)高校。普通校と同じの建物。頭のレベルは、進学校と普通校の間のレベル。 田舎と都市の間に建築されて10年ぐらい。
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